映画を観る前に知っておきたいこと

【あの頃エッフェル塔の下で】フランス恋愛映画の金字塔が帰ってくる!

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フランス恋愛映画の金字塔と言われる『そして僕は恋をする』から20年、名匠アルノー・デプレシャン監督が再び送る“一生に一度の身を焦がすような恋”。また『そして僕は恋をする』と本作では主人公の名前が“ポール・デダリュス”と同じであり、本作でポールを演じるのも20年前に『そして僕は恋をする』でポールを演じた名優マチュー・アマルリックである。『そして僕は恋をする』で描かれたポールとエステルというカップルを改めて違った年代で描くことに挑戦したのが本作であり、デプレシャン監督の集大成を感じさせる。

80年代フランスの音楽やファッション、風景が恋人たちを彩る。第68回カンヌ国際映画祭の監督週間SACD賞を受賞作品。


  • 製作:2015年,フランス
  • 日本公開:2015年12月19日
  • 上映時間:123分
  • 原題:『Trois souvenirs de ma jeunesse』
  • 映倫区分:R15+

予告

あらすじ

人類学者で外交官のポール・デダリュスは、長い外国生活を終えてようやくフランスへ帰国することに。しかし、ポールは空港で、奇妙なトラブルに巻き込まれてしまう。彼と同じパスポートを持つ“もう一人のポール”がいるといいのだ。あの頃エッフェル塔の下でそして偽のパスポートがきっかけとなり、ポールの中に眠っている過去の記憶を呼び覚ます。ポールは人生を振り返りはじめる。幼い頃に亡くなった母、父との決裂、弟妹との絆。ソ連へのスリリングな旅、そしてエステルとの初恋。10代後半で経験した生涯で一度の大きな恋と青春を追憶していく。あの頃エッフェル塔の下で憧れのパリの大学に通うポールは故郷にエステルを残し、毎日手紙にその想いを書き綴った。そして変わらぬエステルへの想いに気づいたポールは、数十年ぶりに彼女からの手紙を読み返しみると、ある真実に気付くことになる……


映画を見る前に知っておきたいこと

『そして僕は恋をする』から20年

本作を見るうえで避けて通れないのが、1997年に日本でも公開されたアルノー・デプレシャン監督の『そして僕は恋をする』だ。この作品に登場する主人公ポールは29歳だが、本作では人生も半ばとなったポールが10代の頃を追憶していくという内容になっている。

『そして僕は恋をする』はかれこれ20年も前の映画だが、恋愛映画の金字塔と言われる程の評価を得て、今でも色褪せることはない。この作品がデプレシャン監督の長編2作目として出世作となり、興行的にも成功し、今ではフランスの名匠と言われるまでになった。当時の予告編でもデプレシャン監督は新鋭監督として紹介されている。

また『そして僕は恋をする』でポールを演じたマチュー・アマルリックにとってもこれが出世作となり、96年度セザール賞最優秀新人男優賞を受賞した。以来デプレシャン監督とアマルリックは映画業界でお互いを高め合う素晴らしいコンビとなる。そして本作でも年を重ねたアマルリックが年を重ねたポールを演じるのだ。

「私がマチューを作ったと言われますが、彼が与えてくれたすべてのもののおかげで私は映画監督になれた。」

アルノー・デプレシャン監督

映画の内容だけでなく、こうした監督や俳優の歴史として見てもおもしろいので、本作を見るうえでは『そして僕は恋をする』を知っておかなければならない。しかし、如何せん古いフランス映画なのでDVDを見つけるのも苦労するかもしれない。そこで、簡単なあらすじと予告編を紹介しておくので是非参考にしてほしい。

そして僕は恋をする:あらすじ
29歳のポールは、二年前からパリ大学の講師として働いていた。彼は気が合わない恋人エステルと10年以上ズルズルと付き合っていた。そんなポールは親友のナタンの恋人シルヴィアに惹かれていく。そしてナタンに秘密で二人は付き合うが、ナタンへの気兼ねから関係はなかなか進展しなかった。

そんな時、シルヴィアの兄ジャンの恋人ヴァレリーに出会う。積極的な彼女はどんどんポールに接近していく。

春になりエステルは国立通訳学校に合格。そしてポールとエステルは別れることに。しかしエステルはその後も彼に会いたがる。ポールは三人の女性との恋に悩み始めることに……
そして僕は恋をする (1996) 予告編

20年経ってポールとエステルを再び描いた理由

20年前に『そして僕は恋をする』で描かれたポールとエステルの恋はそこで終わっているのだが、なぜデプレシャン監督は今になってこの二人を再び描こうと思ったのか?本作の試写会で来日したデプレシャン監督がこんな話をしていた。

30歳頃のふたりを描いた『そして僕は恋をする』を撮り終わった後、オープニングのナレーションにある「ポールとエステルは10年以上一緒にいる、そして10年以上気が合わない」という言葉が気にかかっており、そんなに長く一緒にいるのに気が合わないカップルとは何なのか、いつかその謎を解明しなければと思っていた。

アルノー・デプレシャン監督

デプレシャン監督はこれまで10代の人物を描いた経験はなく、ここに来てその必要性を感じたという。10代のあまりに純粋な恋は、時に病的ですらある。そこに、まったく気が合わないのにお互いを求めてしまう恋人の答えを見い出したのだろう。しかし、デプレシャン監督を持ってしても歳を重ねなければ10代の恋が描けないとは、恋とは奥が深いことを思い知らされる。僕には今だに女性の気持ちはわからない……

僕は普段10代の恋を描いたような映画を見ることはないのだが、本作は不思議と入り込める。そこには監督や俳優の歴史に想いを馳せる部分もあるが、『そして僕は恋をする』ですでに大人の恋が描かれていることで、同じ登場人物である『あの頃エッフェル塔の下で』は観客にとっても追憶のような感覚を持たせてくれる。これをデプレシャン監督による20年越しの素晴らしい手法に感じた。

-ラブストーリー, 洋画, 青春
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執筆者:


  1. 匿名 より:

    WOWOW日本語字幕で視聴した。
    以下の点で中途半端に感じた。
    1.展開のきっかけになる取調べでの取調官に対する説明を回想で再現しているはずが、いつの間にかあいまいになっている
    2.再現回想のナレーションを主人公が行っているのに、いつのまにか3人称に変わっている。ただし、これは字幕翻訳の問題かもしれない
    細かいことかも知れないが、編集上整合性は重要でないという判断なら、きっかけそのものの設定が不要だと感じた。

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