映画を観る前に知っておきたいこと

【罪の余白】衝撃の心理サスペンス

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罪の余白

原作は第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞した小説、芦沢央のデビュー作「罪の余白」。娘の死を受け入れられない行動心理学者の父親と、娘のクラスメートで死の鍵を握る少女の衝撃の心理戦を描いたサスペンス。そんな問題作に挑むのは、『スープ〜生まれ変わりの物語〜』(12)、日仏合作映画『FLARE〜フレア〜』(14)などを手掛けてきた大塚祐吉監督。原作で仕掛けられている多数の罠を、大塚ワールドならではの映像に落とし込み、見事に一級のサスペンスに仕上げた。

主演は、娘をなくし復讐に燃え暴走していく父親を演じる内野聖陽。国民的人気ドラマ「JIN-仁-」、大ヒット映画『臨場 劇場版』で演じるキャラクターがそのまま代名詞となるほどの名演技を残してきた日本映画界きっての存在感抜群の内野が新境地に挑む。そんな実力派俳優と対峙するのは、ドラマ「アイム・ホーム」、「表参道高校合唱部!」などで注目の若手女優・吉本実憂。本作の天使と悪魔を使い分ける演技は抜群の存在感を見せる。


    • 製作:2015年,日本
    • 日本公開:2015年10月3日
    • 上映時間:120分
    • 原作:小説「罪の余白」芦沢央

罪の余白

予告

あらすじ

なぜ娘は死んだのか?真実は娘の遺した「日記」に・・・

名門女子校で、一人の少女が教室のベランダから転落して死亡した。目撃したクラスメートたちの証言によると、少女自らが手すりに登り、突然飛び降りたという。妻に先立たれ父娘二人で仲睦まじく生きてきたつもりの父・安藤聡にとって、娘・加奈の死は受け止められるはずのない現実だった。なぜ娘は死んだのか。自殺か?事故か?

大学で行動心理学を教える安藤は、加奈の異変に気づけなかった自分を責める。そんな折、娘の死に涙する笹川と名乗る美しいクラスメートが現れ、加奈が日記をつけていたことを知る。娘が遺した日記には、咲という少女に追い込まれていく加奈の悲痛な叫びが刻まれていた。罪の余白安藤は、咲の手掛かりを掴むために、笹川に会いに学校へ行く。だが目の前に現れたのは、全く別の少女だった。あの日、安藤を訪ねてきた笹川と名乗る少女が、実は娘の日記に書かれていた咲と同一人物だったのだ。生徒たちの憧れの的であり、教師からの信頼も厚く、スクールカーストの頂点に君臨する美しい木場咲。だがそれは表の顔で、裏の顔は友人だけでなく教師や警察の心までも狡猾に操る残忍な悪魔だった。自らの罪を隠蔽するため、安藤を罠に陥れようとしていたのだ。ことの真相を知った安藤は咲に復讐を誓う。罪の余白

「刑務所にぶちこんでやる!」

だが安藤が咲に罪を認めさせようとすればするほど、逆に彼女の策略にはまっていく。娘だけでなく、地位ある仕事、社会的信頼を失い、安藤は段々と追いつめられていってしまう・・・


映画を見る前に知っておきたいこと

野性時代フロンティア文学賞とは

本作の原作となった芦沢央の小説「罪の余白」が受賞した“野性時代フロンティア文学賞”について、あまり聞き慣れないと思うので簡単に紹介しておきたい。

この賞は、小説誌『野性時代』において募集される公募新人文学賞で、角川書店とフジテレビの共催によるものだ。もともと野性時代青春文学大賞という名前であったが、2009年より名称が野性時代フロンティア文学賞に変更されている。エンターテイメント小説であればジャンルが幅広いというのも特徴の一つである。

選考は、まず編集部で1次選考が行われ、『野性時代』誌上とWebサイト上に候補作の全文を掲載し、Webで読者投票を行い、最終選考会の模様は『野性時代』誌上に掲載される。選考課程で読者投票もあるので、さらにエンターテイメントの要素が強くなると思われる。要するに新人賞という位置づけの賞である。

また「罪の余白」が受賞した2011年は、古川春秋の「ホテルブラジル」と唯一ダブル受賞の年だったにも関わらず、野性時代フロンティア文学賞を受賞した作品の中で「罪の余白」が初の映画化であることから、著者である芦沢央が新しい才能の中でもひときわ異彩を放っていたのだと思う。

こうした新人賞からも映画化の白羽の矢が立つことは素晴らしいことだと思う。映画界、文学界の発展に相乗効果をもたらしてくれるはずだ。おもしろい作品は埋もれることなく、どんどん世に出てほしい。

野性時代青春文学大賞
第1回(2005年) – 木堂椎「りはめより100倍恐ろしい」
第2回(2006年) – 埜田杳「些末なおもいで」
第3回(2007年) – 黒澤珠々「楽園に間借り」
第4回(2008年) – 該当作なし
野性時代フロンティア文学賞
第1回(2009年) – 松尾佑一「鳩とクラウジウスの原理」
第2回(2010年) – 日野草「ワナビー」
第3回(2011年) – 芦沢央「罪の余白」、古川春秋「ホテルブラジル」
第4回(2012年) – 篠原悠希「天涯の果て 波濤の彼方をゆく翼」
第5回(2013年) – 未上夕二「心中おサトリ申し上げます」
第6回(2014年) – 阿川せんり「厭世マニュアル」

-ミステリー・サスペンス, 邦画

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