2010年の東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞をW受賞した『サラの鍵』の原作者タチアナ・ド・ロネのベストセラー小説がまた映画化される。フランス国内で55万部、アメリカでも45万部を記録したサスペンスフルな人間ドラマだ。
30年前、美しき母の謎の死の真相を追い求める兄と、目を背ける妹。そして、重大な秘密を隠しているように口を閉ざす父と祖母。西仏にある「ミモザの島」に沈んだ家族の秘密とは?偽られた家族の歴史が明かされると共に、母の死の裏に渦巻く哀しくも切ない禁断の真実が浮かび上がる。
フランス大西洋岸のノアールムーティエ島、そこにある木々や太陽に照らされた美しい海による映像美と、緊張感あふれる物語りのコントラストが誰もが心の奥底に持つ感情の機微を丁寧に映し出す。
2016年フランス映画祭正式出品作品。
- 製作:2015年,フランス
- 日本公開:2016年7月23日
- 上映時間:101分
- 原題:『Boomerang』
- 原作:小説「ミモザの島に消えた母」タチアナ・ド・ロネ
Contents
予告
あらすじ
アントワンは40歳になった今でも、30年前に母を失った喪失感を抱えたままだった。ずっと気になっていた母の死の真相……
そんなアントワンは真実を知るため、妹アガッタと共に故郷の「ミモザの島」を訪れる。父と祖母は固く口を閉ざし、いかにも何かを隠していた。
「掘り返すな」と父に釘を刺さされたアントワンだったが、アガッタや恋人アンジェルの協力により、幼き日の記憶の扉を少しずつ開いていく。
アントワンは自分が知らなかった母のもう一つの顔、そして母の死の背景に渦巻く禁断の真実に辿り着く。哀しくも切ない秘密を家族が共有する時、すべてを赦す事ができるのか?
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映画を見る前に知っておきたいこと
フランスのベストセラー作家タチアナ・ド・ロネによる原作
2010年の東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞をW受賞した『サラの鍵』のタチアナ・ド・ロネによる原作も300万部を記録している。ナチス占領下のパリでユダヤ人迫害で起こったヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件をテーマにした物語りには、本作同様に緊張感と登場人物の感情の機微を描いた上質な人間ドラマがあった。
ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件とは、表向きは亡命して来た無国籍のユダヤ人の一斉検挙を目的としたものであったが、その数は実に1万3152人、うち子供が4115人に及んだ。もちろん検挙されたユダヤ人は強制収容所に送られる事となる。
『サラの鍵』予告編
『サラの鍵』と本作ではテーマは違うが、優しく切ないが、どこか恐ろしい物語りはタチアナ・ド・ロネの作風に共通している。
また本作は『クリムゾン・リバー』のローラン・ラフィットや『人生はビギナーズ』のメラニー・ロランなどフランスの実力派俳優によって、より上質な人間ドラマとして映画化されている。
西仏の美しい海による映像美も本作の見所の一つで、登場人物の感情の機微を丁寧に伝える描写の一つとして重要な役割を果たしている。
『サラの鍵』に続き、より人間ドラマにフォーカスしながらもタチアナ・ド・ロネ特有の緊張感を持った本作もフランス映画の秀作と言えるのではないだろうか。
フランス映画祭とは?
本作は2016年フランス映画祭への正式出品が決定している。
ただ、このフランス映画祭は日本で行われている映画祭で、海外でのフランス映画の普及を目的として開催されている。日本で初公開されるフランス映画が中心に上映されるので、フランス映画が好きな人はチェックしてみると、新しく映画に出会えるきっかけになるかもしれない。
今年は全13作品が上映される。
ー2016年フランス映画祭ラインナップー
『太陽のめざめ』
『ミモザの島に消えた母』
『The Final Lesson(仮題)』
『愛と死の谷』
『モン・ロワ(原題)』
『アスファルト』
『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』
『ショコラ!(仮題)』
『めぐりあう日』
『パレス・ダウン』
『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』
『エヴォリューション(仮)』
『パリはわれらのもの』