本年度アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、最多4部門受賞。世界でも今年ナンバーワンの話題作。監督は「バベル」「21グラム」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。主演は「バットマン」のマイケル・キートン。落ち目の俳優が現実と妄想の狭間で追い込まれていくなか、再起をかけてブロードウェイの舞台に挑む様を、奇想天外なストーリーと独特の世界観で描いたブラックコメディ。
- 製作:2014年,アメリカ
- 日本公開:2015年4月10日
- 原題:「Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)」
- 上映時間:120分
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 タイトルの謎
- 3.2 世界中で絶賛の嵐
- 3.3 マイケル・キートンの怪演
- 3.4 奇抜だが必然の演出の数々
- 3.5 監督・アレハンドロ・G・イニャリトゥ
- 3.6 マイケル・キートン(リーガン・トムソン)
- 3.7 エドワード・ノートン:(マイク・シャイナー)
予告
あらすじ
リーガン・トムソンはかつて「バードマン」という大ヒット映画でスーパーヒーロー・バードマンを演じたスター俳優だった。しかし、シリーズ終了から20年ヒット作にも恵まれず、家庭にも失敗し、仕事も家族も失っていた。失意のどん底から這い上がるためリーガンはレイモンド・カーヴァーの短編小説「愛について語るときに我々の語ること」を舞台向けに脚色し、自らの演出と主演でブロードウェイの舞台に立つことを決意する。
しかし本公演前のプレビュー公演直前に1人の俳優が怪我で降板してしまう。その代役として、ブロードウェイで活躍するマイク・シャイナーが選ばれる。そのマイクの才能にリーガンは次第に追いつめられていく。
そして本公演が始まる・・・
映画を見る前に知っておきたいこと
タイトルの謎
『バードマンあるいは(無知がもたらす奇跡)』とはなんとも変わったタイトル。これは原題からの直訳でもある。最後まで見れば(無知がもたらす奇跡)の中の意味がわかる仕掛けになっているのだが、そこまでに至る作劇が一筋縄ではいかない。とにもかくにも破天荒な作品なのだ。
世界中で絶賛の嵐
賞レースを軒並み制し、今年最高の1本であることは間違いないだろう。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、ヴェネツィア国際映画祭、雑誌やサイト、その他もろもろ上げればきりがないほど賞を総なめにしている。また作品のみならず、出演者の評価も高い。中でも、マイケル・キートンの演技に対する称賛は並外れており、「21世紀を代表するカムバックだ。」「オスカー像をとるべき男だ。」など多く賞賛されている。
マイケル・キートンの怪演
もとバットマンを演じた俳優マイケル・キートンを、もとバードマンを演じた俳優リーガン・トムソンにそのまま重ね合わせてしまう人は多いと思う。コメディなのになんだか笑えなくなってしまうようなキャスティングだ。しかし、実際のキートンの演技は凄まじく、作中の主人公とは違い、その演技は世界で絶賛された。リーガンの妄想シーンなんかは、その演出も相まって狂気じみたものさえ感じる。この映画はキートンをキャスティングした時点で完璧だ。
奇抜だが必然の演出の数々
まるでワンカットで撮影されたかのようなカメラワークは「ゼロ・グラビティ」でアカデミー賞撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキの高度なテクニックによるもの。観客からは全編長回しのように見えるこの撮影方法はアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督のアイデアによるもので、二人のタッグがこの映画の独特の雰囲気を作り上げている。
ほか、ほぼドラムのみの音楽(ドラム・スコアはグラミー賞を4度も受賞したアントニオ・サンチェス)など、まるで奇をてらっているかのような演出が多いのもこの映画の特徴だ。しかし、飽くまでこれは必然で、この映画で表現しようとしていることを表現したらこうなったというだけに過ぎない。とにかく”ぶっ飛んだ”映画である。
監督・キャスト
監督・アレハンドロ・G・イニャリトゥ
メキシコの映画監督、脚本家。代表作は「アモーレス・ペレス」「バベル」「21グラム」「ビューティフル」。「アモーレス・ペロス」でカンヌ国際映画祭批評家週間グランプリ、東京国際映画祭東京グランプリ&最優秀監督賞を受賞。「バベル」ではカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。「ビューティフル」でもアカデミー賞の外国語映画賞。発表する作品は軒並み高く評価されている。そして本作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」では過去最高の評価を得ている。
マイケル・キートン(リーガン・トムソン)
ティム・バートン監督の「ビートルジュース」が俳優として出世作となる。「バットマン」ではブルース・ウェイン役を務めるが、「バットマンリターンズ」でバートン監督の降板によりブルース・ウェイン役をヴァル・キルマーに譲った。バットマン役だったマイケル・キートンが、本作でもスーパーヒーロー・バードマンを演じた元スター俳優役を演じる。
エドワード・ノートン:(マイク・シャイナー)
主な出演作は「真実の行方」「アメリカンヒストリーX」「ファイトクラブ」「レッド・ドラゴン」「インクレディブル・ハルク」。「真実の行方」でオーディションで2000人以上の中からアーロン役に抜擢されて1996年に映画デビュー。アカデミー主演男優賞にノミネートされた「アメリカンヒストリーX」のデレク役の演技はとても力強く、他を圧倒する演技力を持つ俳優だ。本作でのブロードウェイの実力派俳優マイク・シャイナー役というのもうなずける。