韓国版「花より男子」の道明寺役をはじめ「シティーハンター in Seoul」「相続者たち」とテレビドラマで立て続けに成功を収め、韓国若手実力派No.1との呼び声高いイ・ミンホが待望の映画初主演作。今までのロマンティックな役柄とは一転、野心溢れる鋭い眼差しと危険な拳を振りかざし、激しいアクションシーンにも挑んだ男らしい新たな一面を見ることができる。
1970年代の江南(カンナム)開発の利権争いに身を投じていくどん底の若者たちが純粋な欲望と冷酷な野心で夢を追う生き様をダイナミックに描いた韓国の本年度最大の話題作。本国・韓国では初登場1位となったメガヒット・アクションノワール。。また、本作はユ・ハ監督の街3部作『マルチュク青春通り』『卑劣な街』に次ぐ完結編でもある。
最後に残るのは、友情か野心か……
- 製作:2015年,韓国
- 日本公開:2015年10月17日
- 上映時間:135分
- 原題:『Gangnam 1970』
- 映倫区分:R15+
Contents
予告
あらすじ
舞台は1970年の韓国・ソウル。まともな戸籍もないどん底の暮らしで、兄弟同然に育ったジョンデ (イ・ミンホ) とヨンギ (キム・レウォン) 。ある日、唯一の安息の場だった小さなほったて小屋さえ奪われてしまう。さらに、やくざが介入する全党大会の妨害作戦に巻き込まれ、ジョンデとヨンギはお互いを見失ってしまい、消息すらわからなくなってしまうのだった。それから3年後、ジョンデは組織のボスであるギルス (チョン・ジニョン) に拾われていた。しかし、自分を家族として受け入れてくれたギルスの願いとは裏腹に、成功したいという野心だけでやくざの道を進んでいく。情報と権力の中心に通じているミン社長 (キム・ジス) と一緒に江南開発の利権争いに飛び込んだジョンデは、明洞派の中堅ボスになったヨンギと再会する。
敵同士となったジョンデとヨンギに、政界まで介入した義理と陰謀、そして裏切りが渦巻く江南の土地を巡る争いが始まる……
映画を見る前に知っておきたいこと
2016年早くも話題作への出演が決まっているイ・ミンホ
韓国若手実力派No.1との呼び声高いイ・ミンホが本作で待望の映画初主演を果たしたわけだが、本国・韓国で初登場1位のメガヒットとなったのは彼の主演は大きいだろう。2009年にKBSで制作されたドラマ『花より男子〜Boys Over Flowers』で道明寺司を演じ、第45回百想芸術大賞テレビ部門男性新人演技賞を受賞したのをきっかけにテレビドラマで活躍し、そこから国内で多くの賞を獲得している。音楽活動からバラエティまでこなし、マルチな才能を発揮している。韓国で今最も勢いのある若手俳優なのは間違いないだろう。
2016年には『バウンティー・ハンターズ』という、韓国、中国、香港、タイなどアジア各都市を背景に繰り広げられる賞金稼ぎを描いたアクション・コメディ映画に出演が決定している。この作品は韓国、中国、香港の共同製作だが、ただの合作ではなく「アジアハリウッド」を目指すグローバルプロジェクトとして製作される。よってその製作規模は350億ウォン(約39億2000万円)と言われ、豪華なキャストと、『7級公務員』で観客動員数400万人を記録したシン・テラ監督がメガホンを取ることで来年の話題作の一つになると思われる。おそらくこの作品は、イ・ミンホがさらに飛躍するきっかけになるだろう。
- 過去の出演映画
- うちの学校のET(2008年)オ・サンフン役
- カン・チョルジュン 公共の敵1-1(2008年)チョン・ハヨン役
ユ・ハ監督の街3部作
本作は、ユ・ハ監督が10年に渡って製作してきた街3部作の完結編である。物語自体はすべて独立しているのでどれから見ても問題はない。イ・ミンホ目当てで本作だけ見るのもありだと思う。一応3部作の完結編なので1作目2作目はどんな作品だったのか知っておくのも良いと思う。すべて街と暴力をテーマにした青春が描かれているという共通点も、もちろんある。
- 1作目『マルチュク青春通り』(2004)
1970年代の軍事政権下のソウル・マルチュク通りを舞台に制度圏の教育の外側に押し出された若者たちを描いた作品。教権という名で暴力を振るう大人たちの卑劣な姿に似ていく若者たちの暴力がテーマになっている。ユ・ハ監督が脚本も手掛けているが、本人の自伝的体験談がもとになっている。 - 2作目『卑劣な街』(2006)
一人の若い三流ヤクザが、生きるか死ぬかの世界でのし上がっていこうとする姿を描く。しかし、結局彼のいるその街は裏切りがはびこる卑劣な街であった。
『卑劣な街』 ビデオ予告篇
https://youtu.be/BjOGNfeD2JM
そして2作目から9年経って街3部作の完結編である『江南ブルース』へと繋がるわけだが、順を追って見ていくと『江南ブルース』は完結編にふさわしいテーマとなっている。1作目『マルチュク青春通り』は暴力を描き、2作目『卑劣な街』では裏切りを描いた。そして『江南ブルース』では、暴力と裏切りの両方がメインのテーマとなっている。これは、完結編にしてユ・ハ監督の作品がある種の完成を見たのだと思う。現に韓国国内では大ヒットとなっていることが、より作品が昇華された証拠である。3部作といっても難解な映画ではなく、アクションもありエンターテイメント性も強いジャンルなので、この成功はユ・ハ監督を賞賛すべきだろう。