映画を観る前に知っておきたいこと

グッバイ、サマー
フランス版『スタンド・バイ・ミー』

投稿日:2016年9月23日 更新日:

グッバイ・サマー

14歳。僕らの夏休みは永遠の思い出

『エターナル・サンシャイン』(04)『恋愛睡眠のすすめ』(06)など、創造性と遊び心に満ちた独特の世界観で絶大な支持を得るミシェル・ゴンドリー監督の最新作は、彼の自伝的青春映画です。

14歳の少年二人が夏休みに“動くログハウス”で旅をする冒険ロードムービーに、大人はノスタルジーを感じずに入られません。しかし、それ以上に同じ年頃の子供たちにも観せてあげたい映画です。僕の時代に『スタンド・バイ・ミー』があったように。

オーディションで選ばれた二人の少年役、アンジュ・ダルジャンとテオフィル・バケの演技はとてもみずみずしく、色鮮やかなフランスの街並みや自然とともに爽やかな感動を届けてくれます。

予告

あらすじ

少年は14歳だった。それは子供でもない、大人でもないまるで季節の変わり目のような時期。画家を目指す少年ダニエル(アンジュ・ダルジャン)には沢山の悩みがあった。

中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれ馬鹿にされる。恋するローラ(ディアーヌ・ベニエ)にはまったく相手にされない。おまけに母親(オドレイ・トトゥ)は過干渉で、兄貴は暴力的なパンク野郎だ。本当の自分をわかってくれる人なんてどこにもいなかった……

グッバイ、サマー

© Partizan Films – Studiocanal 2015

そんなある日、ダニエルのクラスに変わり者の転校生テオ(テオフィル・バケ)がやってきた。目立ちたがり屋で、自分で改造した奇妙な自転車を乗り回し、家の稼業のせいで身体からガソリンの匂いを漂わせている。周囲から浮いた存在のダニエルとテオは気が合った。やがて二人は親友同になった。

グッバイ、サマー

© Partizan Films – Studiocanal 2015

しかし学校や家族、仲間達はそんな二人を枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しくて、うんざりするような毎日から抜け出すため二人は“ある計画”を考え付いた。それはスクラップを集めて“動くログハウス”を作り、夏休みに旅に出ることだった……

映画を観る前に知っておきたいこと

青春映画を観たい人なら年齢は問わない映画だと思います。もちろん12歳以上です。とても評判の良い作品なので、きっと多くの人に素敵な余韻を残してくれるはずです。

大人のための映画という意見も多いですが、ダニエルやテオと同じ年頃の子供たちにも観せてあげたいと思うのは、やはりその時にしか抱けない感情があるからです。親と仲良く映画館に行けない子供にこそ響きそうですが……

すべての人に心地良い青春映画

すべてがみずみずしく、誰もが羨ましくなるような時間。この映画を観ればミシェル・ゴンドリー監督の魔法にかけられる。大人はノスタルジックに14歳の頃を思い出し、子供は自分たちの青春とこの物語を重ね合わせるだろう。それだけ多くの人に爽やかな感動を届けてくれる映画だ。

フランス版『スタンド・バイ・ミー』という感想も多く見られるほど普遍的な青春映画でありながら、やはりそのポップさはミシェル監督の遊び心による。

ミシェル監督の自伝的青春映画として描かれる少年たちの悩みが青春の影の部分なら、ダニエルとテオが作る“夢の車”は青春の輝きとなり、映画に絶妙なコントラストをもたらしている。そして、そのどちらもミシェル監督の一貫したユーモアによって映し出されるため、なんとも心地良い。

また二人の少年役、アンジュ・ダルジャンとテオフィル・バケは演技初挑戦ということもあって、映画はよりみずみずしく映る。彼らのことを好きにならずにはいられない。誰もがそんな想いにかられるのではないだろうか。

「この映画は100%僕の思い出からできている。僕が体験したことを元に冒険したかったんだ」

ミシェル・ゴンドリー監督

© 公式サイト

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