映画を観る前に知っておきたいこと

【これが私の人生設計】男性社会なんてクソくらえ!イタリア発の働く女性応援ムービー!

投稿日:2016年2月12日 更新日:

これが私の人生設計

男尊女卑のイタリア社会を痛快にブッ飛ばす働く女性コメディ。イタリアでは公開と同時に大ヒットを記録。日本でも2015年イタリア映画際で『生きていてすみません!』のタイトルで上映され大絶賛を受け、公開を待ち望まれての配給となった。

実在する女性建築家エンダリーナ・サリーメイによるローマ郊外の公営住宅コルヴィアーレのリフォームプラン「緑の空間」の採用にヒントを得て作られた。

監督はシリアスな社会問題を巧みにコメディに昇華してしまい、痛快なヒット作を連発するリッカルド・ミラーニ。主演は本国イタリアでは歌手としても成功を収めているパオラ・コルッテレージ。二人はこの作品をきっかけに結婚。おめでとうございます。

主人公のゲイ友には、大人の魅力に骨を抜かれる女子多発、イタリアで最もセクシーな俳優ラウル・ボヴァ。

  • 製作:2014年,イタリア
  • 日本公開:2016年3月5日
  • 上映時間:103分
  • 原題:『Scusate se esisto!』

予告

あらすじ

女性建築家セレーナは若い頃から天才と呼ばれ、世界各国で華々しい成功を収めてきた。そんな彼女が、ふと自分を見つめ直して故郷へ帰る決意を固める。それは「未来への新しい一歩」になるはずだった。
これが私の人生設計しかし、イタリアの男性社会はセレーナの一歩を見事に打ち砕く。積み上げてきた実績は見向きもされず、仕事は全くもらえない。ついに貯金も底をつき、しかたなく始めたカフェのアルバイトでギリギリの生活を送るはめに。

そのカフェのオーナー、フランチェスコが何かと世話を焼いてくれる優しいイケメン。母親や叔母から結婚を急かされていたこともあって、ついつい彼に恋心を抱くセレーナ。
これが私の人生設計経済的にも精神的にも困窮した生活に現れた白馬の王子様・・・と浮かれたのもつかの間、なんとフランチェスコはゲイだった。あえなく失恋したセレーナだったが、二人の関係は固い友情で結ばれる。

そんな中、セレーナは公営住宅のリフォーム案の公募が行われることを知った。女性は仕事ももらえない・・・、先の体験で身に染みた反省を生かして、なんと男性のフリをして応募してしまう。
これが私の人生設計自分をアシスタントと偽って面接に望み、再起を賭けた企画は見事採用。めでたしめでたしと思いきや、アシスタントの自分が公共の場に出るわけにもいかず、フランチェスコに身代わりを頼むが・・・・。

映画を見る前に知っておきたいこと

日本よりも男性社会なイタリア

意外に思われるかも知れないけれども、イタリアは日本よりも遥かに男尊女卑の社会だ。悪い言い方をすれば、女性は男性に媚を売るのが当たり前という風潮が一般的に受け入れられている。

さらにはコネがなければ仕事を探すのも大変な失業率20%を超える大不況時代。そんなイタリアで、しかも身内談合が当たり前の建築コンペの世界で、男性と偽ってでも「良い物」を正当に評価させたことがこの映画のドラマのポイントである。

裏を返せば、国際的に実績があるにもかかわらず女性であるというだけで舞台にも上がれない、イタリアの女性の苦境を象徴しているとも言える。

セレーナはそんな厳しい自国の状況から尻尾を巻いて逃げ出さず、ついには上にふんぞり返ってあぐらをかいている男どもに自分の力を認めさせてしまう。この事実が、イタリアの女性にどれだけの力と勇気を与えたか。それはとても新鮮で爽快な体験だったに違いない。

笑って充電!

イタリア映画際での上映の際、主演女優のパオラ・コッテレージとリッカルド・ミラーニ監督は、本作について「腹で笑って欲しい、頭で笑って欲しい」とコメントしている。

女性の社会進出は、日本でもよく取り上げられる重要なテーマだ。そんなシリアスな問題を抱腹絶倒のハイテンポコメディで描いた点はやっぱり痛快。いつだって最後に勇気をくれるのは、自分だって笑い飛ばしてしまう笑顔の力だ。

『生きていてすいません!』というタイトルは、セレーナが作り上げた架空の人物ブルーノが『生きていてすいません!』という意味で、原題の直訳でもある。

『これが私の人生設計』よりは『生きていてすいません!』の方がインパクトもあるし洒落も利いてて、映画の軽さを表した良いタイトルだと思うんだけれど、何で変えちゃったんだろう。

ネガティブな印象を少しでも削ろうとしたんだろうか。どうしようもないネガティブなことを笑えてこそのコメディだと思うんだけどな。

これがドラマだったら、大ヒットと言えるほど成功しなかったと思う。働く女性に限らずとも壁を越えようと前進していく全ての人に必要な成分が、この映画にはたくさんつまっている。

-3月公開, コメディ, 洋画
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