映画を観る前に知っておきたいこと

君の名は。
3.11以降の若者へ

君の名は。

まだ会ったことのない君を、探している ──

夢の中で突然入れ替わる少年と少女。千年振りとなる彗星の来訪。ねじれる時間軸の中で恋と奇跡が交差する。

興行収入238億円突破、2016年を彗星の如く駆け抜けた『君の名は。』。日本での話題が収束した現在も、世界125の国と地域で配給され日本映画の記録を塗り替え続けている。

作画監督に『千と千尋の神隠し』(01)など数多くのスタジオジブリ作品を手掛けた安藤雅司を迎え、キャラクターデザインに『心が叫びたがってるんだ。』(15)のアニメーター田中将賀を配置。新海 誠が初めて日本最高峰のスタッフと手を取り合って、アニメーションの新時代の扉を開いた最高傑作。


予告

あらすじ

千年振りとなる彗星の来訪が一ヶ月後に迫る日本。山深い町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。町長である父の選挙運動に神社の家系に生まれた古き風習。小さく狭い町は、年頃の彼女に周囲の目を余計に気にさせ、都会への憧れを強くするばかりだった。

君の名は。

© 2016「君の名は。」製作委員会

ある日、三葉は自分が男の子になる夢を見た。見知らぬ友達に見覚えのない部屋、目の前には東京の街並が広がっていた。夢の中で憧れの都会暮らしを思いっきり満喫する三葉。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も不思議な夢を見ていた。行ったこともない山深い田舎町と女子高校生の自分。

君の名は。

© 2016「君の名は。」製作委員会

奇妙な夢が何度も続くうちに、明らかに抜け落ちた記憶と時間に二人は気付く。戸惑いながらも、現実を少しずつ受け入れる瀧と三葉はお互いにメモを残し、意思の疎通を図った。しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行くことを決心した。

出会うことのない二人の出逢いによって、運命の歯車が動き出す……


映画を観る前に知っておきたいこと

2016年は、庵野秀明の『シン・ゴジラ』に新海 誠の『君の名は。』と、日本を代表するクリエイター二人が立て続けに社会現象を巻き起こしてみせた。いずれも3.11以降を強く意識させる作品だったことも、それ以上に印象的だった。

そこに日本人の感情と映画に対するニーズの変化を垣間見ることができ、本作が強烈に時代に選ばれた作品だということに気付かされる。

3.11以降の若者へ

新海監督は、東日本大震災を意図的に作品のモチーフにしたわけではないと語る。あくまで一人の日本人として自然発生的に作品に持ち込んだのだと。

そのため、これまでの新海作品にはなかった社会的なメッセージが、エンターテインメント性を重視する彼らしい語り口で表現されている。新海 誠の最高傑作とされる理由は、これまで以上に彼が観客を意識した王道を目指したからに他ならない。

特に10代から20代の観客を意識したという本作は、歴史というにはあまりにも短い時間軸のねじれを活用することで、人間の想いは紡がれていくものだということを若者に分かりやすく伝えている。3.11を通った若者にとって、これは新鮮で貴重な映画体験だろう。

ほぼ全ての製作過程に携わる新海監督のスタイルに代表される、緻密な風景描写から生み出される映像美、繊細な言葉選びによる男女の距離感はさらに洗練され、その美しい世界観は彼らだけでなく大人であっても語るべき点は多い。

この大ヒット作がどこかありきたりな物語に映ってしまった僕ですら、胸にくるものがあったのである。

新海 誠の誰もが楽しめる作品を追求する作家性と、3.11以降という時代の感情が結びついたことで強烈な光を放った作品だ。

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