2011年3月11日午後2時46分東日本大震災発生からの5日間、原発事故の真相を追う新聞記者をキーパーソンとし、当時菅直人政権であった官邸内、さらに東京や福島で暮らす人々の姿を対比させながらリアルに描き出す究極のジャーナリスティック・エンターテイメント!
官僚たちはすべて実名で登場し、菅直人役には三田村邦彦、内閣官房長官・枝野幸男役に菅原大吉、内閣副官房長官・福山哲郎役に神尾佑、首相補佐官・寺田学役に青山草太。そして情報収集に奔走する記者・鍋島役には北村有起哉。彼の視点を通して物語りは描かれる。
あの時、政府や東電が公表しなかった真実が映画によって語られる……
- 製作:2016年,日本
- 日本公開:2016年7月16日
- 上映時間:130分
Contents
予告
あらすじ
あの日、日本は消滅の危機に瀕していた。
2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災発生。
福島第一原発は、全電源喪失。冷却装置を失った原子炉は、温度が上がり続けメルトダウンが予想される事態に。水面下ではチェルノブイリに匹敵する、最悪の事態が起こっていた!日本の原発の安全神話が崩壊する、想定外の状況を前に、判断を誤る科学者たち。また、総理官邸ではその対応に追われるも、情報不足のまま混乱を極めていた。
そして、実際の被害者は故郷に別れを告げ避難を急ぐ市民たちだった。
打つ手がないまま、残酷に時間だけが過ぎていく。そして地震発生の翌日3月12日午後3時36分、1号機の原子炉建屋で水素爆発が起こる。立て続けに3号機、2号機でも連鎖するように起こる異変。
破滅に向けてのカウントダウンは、止まることを知らなかった……
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映画を見る前に知っておきたいこと
リアリティと緊迫感に引き込まれる
過去にドキュメンタリー以外でここまで原発事故を俯瞰的に捉えた映画はなかったように思う。
もちろん映画としての脚本もあるが、あくまで事実に沿った物語りとなっているため、どこまでもリアリティを持ちながらも、同時にドキュメンタリーにはない緊迫感も漂わせている。映画として観客を引き込む力を十分に備えている。
今、再び原発が再稼働され始めた日本にとって重要なメッセージを残してくれるだろう。
日本における原発の安全神話、そんなものは端から存在していなかった。あの悲劇を繰り返す可能性を未来に残す事はあまりに傲慢なエゴのように思えてならない。
2011年3月11日以降、日本は原発ゼロに向かっていくはずではなかったのか。あの時の気持ちを思い出させてくれる映画だ。
今年のアカデミー賞で最も評価されたのもジャーナリスト映画だった
実話を基にしている事は言うまでもないが、官僚たちをすべて実名で登場させている事が究極のジャーナリスティック・エンターテイメントと紹介されている理由だ。
今年、アカデミー賞作品賞・脚本賞のW受賞を果たし、最も評価された映画『スポットライト 世紀のスクープ』も、ボストンのカトリック教会で行われている数十人もの神父による児童への性的虐待を白日の下に晒すためジャーナリズムの正義を貫いた記者たちの闘いが描かれていた。
そして作品に与えられた話題性は、カトリック教会の問題に再び世界の関心を集める事に成功していると同時に、映画の持つ社会的影響力を知らしめる事にもなった。
ジャーナリスト映画という意味では本作も引けを取らないが、話題性は弱い。映画の持つ力や、その役割はもっと重要視されるために、日本でもこうした映画が評価されればと感じる。