映画を観る前に知っておきたいこと

【チャイルド44 森に消えた子供たち】「このミステリーがすごい!」2009年大賞の小説を映画化

チャイルド44

ミステリーファンから絶大な信頼を得ている「このミステリーがすごい!」の海外編で2009年1位を獲得したミステリー小説「チャイルド44」の映画化。1950年代、犯罪の存在を認めないスターリン政権のもと、事件を取り巻く人間たちの心理戦を綿密なプロットで描いている。真実を追えば追うほど国家に狙われ、さっきまで味方だった奴が次の瞬間には敵になる。偽りの理想国家で、もはや何を信じればいいのか分からない。

『ブレード・ランナー』、アカデミー賞5冠『グラディエーター』などの名匠リドリー・スコットが製作、監督はダニエル・エスピノーサ。主演に、今年の6月に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』での主演を張ったトム・バーディ。『ターミネーター:新起動/ジェニシス』でジョン・コナー役を演じるジェイソン・クラーク、『ラン・オールナイト』で息子役を演じたジョエル・キナマンなど、2015年の顔役とも言える俳優陣が勢揃い。


    • 製作:2015年,アメリカ
    • 日本公開:2015年7月3日
    • 上映時間:137分
    • 原題:『Child 44』
    • 原作:小説『チャイルド44』トム・ロブ・スミス

チャイルド44 上巻 (新潮文庫) チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

予告

あらすじ

舞台はスターリン政権下のソ連。
1933年、ソヴィエト連邦ウクライナのチェルヴォイ村は、大飢饉によって飢餓に喘いでいた。飢えに耐えかねた兄弟、兄パーヴェルと弟アンドレイは食用目的で猫を捕まえるため森の中へ入っていく。そしてパーヴェルはそのまま行方不明になってしまった。

それから20年後の1953年。森で子供たちの変死体が次々と発見される。年齢は9歳から14歳、全裸で胃は摘出され、山間にもかかわらず死因は溺死。レオの親友ヒョードルの息子アルカージーも殺害される。だが、“殺人は国家が掲げる思想に反する”ため、当局はこの事件を全て事故として処理してしまう。
チャイルド44
国家保安省の捜査官レオ・デミドフ(トム・ハーディ)は親友の息子が殺されたことをきっかけにこの事件の捜査を開始する。容疑者の一人として、スパイの疑いを掛けられていた獣医アナトリー・ブロツキー(ジェイソン・クラーク)を逮捕した。ところが、レオの部下ワシーリー・ニキーチン(ジョエル・キナマン)がアナトリーを匿っていた農夫ミハイル・ジノヴィエフとその妻の二人を殺害してしまう。レオはそれに激昂し、ワシーリーに銃を向け、殴り、その事を後に上司のクズミン少佐(ヴァンサン・カッセル)に問い詰められるのだった。

その後、事件の捜査を進めるレオの妻ライーサ(ノオミ・ラパス)にスパイの嫌疑が掛けられる。それは全てクズミン少佐の謀略によるものだった。そして、レオはヴォウアルスクという辺境の村に左遷されてしまう。だがそこでも、少年少女を対象とした残酷な殺人事件が連続して発生する。レオはそれまでの組織に忠実な姿勢を変え、本気で事件の解決を目指すが―。


映画を見る前に知っておきたいこと

スターリン政権

スターリンは「スターリン憲法」によって、ソヴィエト連邦の社会主義を確立した人物だ。これを機に少しソヴィエトの事について少しだけ勉強してみた。スターリン政権下のソ連がどのような国家であったかは、それこそ「スターリン憲法」のポイントを抑えておくと話が早い。要約すると下記のような内容である。

  • ソヴィエト連邦を社会主義建設が完了した社会と定義する。(マルクス・レーニン主義のソ連では、資本主義から共産主義に発展する中間の段階を「社会主義」と呼んだ。共産主義社会では「各人にはその必要に応じて」配分されることが理想とされるが、それはまだ実現していないとされている。)
  • 階級対立は消滅し、搾取者はいなくなった。労働者と農民は平等な諸権利、市民権を持つ。
  • 国家は社会主義のもとでは弱まるが、周囲を資本主義国家に囲まれている現状では強化される。
  • 国家権力の最高機関は最高会議・ソヴィエトである。これは「連邦会議」と「民族会議」の二院制より成り、普通・平等・秘密・直接の選挙で選ばれる。
  • 最高会議は「最高会議幹部会(日本で言う内閣。その議長が日本でいう首相。)」を選挙する。また最高裁判所を選挙し、検事総長も任命する。
  • 勤労者代表ソヴィエト、国営企業、コルホーズなど各級の国家機関に関する規定。
  • ソ連邦を構成する共和国(当時11ヵ国)は分離権を持つ。各民族は平等であり、自治が認められる。
  • 国民は労働、休息、教育、社会保障などの権利を持つ。信仰、言論、出版、集会、デモなどの自由を持つ。しかしこれらの自由は「社会主義体制を強化するため」にのみ与えられる。
  • ソ連共産党は「あらゆる組織の指導的核」であるとされる。

さらっと流し読みした人のために分かりやすく言うと、スターリン政権は立法・行政・司法の三権分立を一党に集中した独裁政権である。国民の自由は保証されるが、それは「社会主義体制を強化する」場合のみ。マルクス・レーニン主義=スターリニズムとは、指導者に対するを個人崇拝、軍事力や工作活動による暴力的な対外政策、秘密警察の支配を背景とした恐怖政治や大規模な粛清などを特徴とする全体主義を指す。

1953年。実はこの年はスターリンが没した年だ。当時のソ連はスターリンの確立した独裁派とフルシチョフを初めとする現実路線派で対立していた。映画と直接関係してくるかは分からないが、知っていて損はない。

このミステリーがすごい!

チャイルド44
公式サイトにも日本のミステリーファンが絶大な信頼をよせていると紹介されている「このミステリーがすごい!」ランキング。このシリーズは他にもいくつもあって、「このマンガがすごい!」「このラノベがすごい!」などなど、いろんなジャンルですごい作品を紹介している。

何がすごいって、本当にすごいからすごい。マニアックな作品でも、面白いもはいち早く次から次へと出てくる。個人の好みにもよるところだとは思うが、ハズレがほとんどない。全く宝島社の編集部には頭が下がる思いである。お世話になっている人も大勢いるのではないだろうか。

そのすごいランキングの2009年第一位なんだから、面白くないわけがない。まぁ、「小説は」の話だが……

原作『チャイルド44』

飽きさせない展開とその早さがものすごい。全ての脇役に細かい描写と設定が描かれながら、どいつもこいつもあっさり死ぬ。と思ったらもう次の展開に入り込まされている。ちなみに、この作品には続編があり『グラーグ57』『エージェント6』と続いていく。『チャイルド44』を読んだ人は例外なく続編を読みたくて仕方がなくなる症候群にかかる。
チャイルド44 上巻 (新潮文庫) チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

グラーグ57〈上〉 (新潮文庫) グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)

エージェント6(シックス)〈上〉 (新潮文庫) エージェント6(シックス)〈下〉 (新潮文庫)

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